それからの議論は無駄に熱かった。議題は、「どうしたら悠介が帰れるか」と、「反地球とこの地球を行き来する方法」について。

生徒会の会議よりも盛り上がりを見せた。湯浅先輩がこの場にいないのが残念だ。


「パラレルワールド…っていうやつですよね?」

「漫画によくあるじゃん、階段から落ちたりショック与えれば戻るんじゃねぇ?」

「い、痛いのは嫌だ…!」

「時をかける少年になった訳だな、悠介は」

「時じゃなくて惑星な」

「戸野先輩も自分に会った事があるんですか?」

「いや…俺の場合は互いにトリップみたいな状態だけなんだけど…自分が二人いたら怖いですよね」

「…言っていた"時空の歪み"っていうのは?」

「最近、地球でも温暖化や自然災害が多いでしょう?そのせいかは解りませんが…磁場の狂いによって、空間が歪むのを見たんです。…反地球に行く前には、目の前が歪みます」


興味深い話を聞きながら、弱々しい悠介と目が合う。ぎこちなく笑顔を向けた後、彼は私逹に訊ねて来た。


「美月ちゃんと眼留ちゃんは、いつから仲良しなの…?」

「いつって…幼稚園からだよ、親友!」

「…親友…?本当に、びっくりだ」


不可解な事を言う悠介に首を傾げる。

話を聞くと、"反地球"の美月と私は大層仲が悪いらしい。…ショックだ。

フォローのつもりなのか、続いて悠介が衝撃の事実を口にする。


「俺の世界の美月ちゃん、藍川くんと付き合ってるから」


一同が凍りつく。