その時私の目の前には、
私が恋した男、

桜田優佐がそこにいた。

私も顔には出していないつもりだが、心底びっくりしている。


桜「うわぁ・・・。莉和ちゃんやんな?」

こくん・・・
私は頷く。

桜「俺のこと覚えてくれてる?めっちゃひさしぶりやんなぁ。」

また、頷く。

桜「なぁ、俺さ、ずっと聞きたいことあんねんけど。」


とたんに胸が苦しくなる。
聞かれることに何となく想像がついた。


桜「莉和ちゃん、なんで芸能界引退したん?」


やっぱり、なんで?なんで?なんで聞くの?
疑問が脳裏をよぎる。
やめてよ。聞かないでよ。

私は顔で訴えかける。
なのに、桜田くんは一歩も引き下がらない。


桜「なぁ?教えてくれへん?
なんかしゃべりーや。どっち?教えてくれんの?くれへんの?」


そんなの喋りたいって気持ちはいっぱいいっぱいあるよ。
だけど、私は話す事が出来ない。
喋れたら、この声がでたら、こんなに苦しむ事なんてなかったのに。


私はその場を逃げ出した。