「俺さ、やっぱり失うのが怖かったんだ……」



「おい、話し聞くなんて言ってねぇぞ」


渉は雲を見ながらそう言った。



「何かがなくなるのってすっげぇ怖ぇの

だからさ、守ってやれなかった

弱かったから人を守ることができなかった」


「おい、聞いてんのかお前」


だけど、俺は渉の言葉を無視して話し続ける。



「でも今はちゃんと分かったよ、

渉の言葉で気付かされた」


「だから聞かねぇって言ってんだろ」


渉は聞かないと言いながら、

この場を離れることは無かった。