私はいっつも彼から逃げていた。 「アイツもアイツで 色んなものから逃げてるけど 心ちゃんだって逃げてんだろ 向き合うのが怖いから自分から離れて行ったんだ」 いつも優しい佐野くんの表情は 今日はない。 少し厳しくて強めの口調でだった。 「佐野くん……」 でも私は知ってる。 彼はとことん優しい人だってことを。 「ごめんね……」 ずっとその彼に甘えていた。 いつもそばにいて支えてくれるから 言わないことも察してくれるから 甘えていた。 「こんなこと、言わせてごめんね」