「ごめんなさい」
その言葉に私はほっとする。
なんて性格が悪くなったんだろう。
「心ちゃん、向こう行こう」
佐野くんがそう促したことにうなづいて反対側に向かおうとした時
彼の声は私の耳に流れ込んできた。
「好きな人がいます」
ドキンー
聞かない方がいい。
きっと彩花ちゃんのことだ。
はやく、はやくここを立ち去らなくちゃ。
そうやって佐野君の後をつけると彼はさらに言う。
「幸せにしてあげることは出来なかったんですが
今でもその人のことが好きです
ごめんなさい」
立ち止まる私の足。
ドキ、ドキと自分の心臓の音だけが聞こえる。


