いやだ、来るよ

きっと来るよ。

泣かない。


泣いたりなんてしないんだから。


「もう少しだけ……もう少しだけ待ってる」

「心ちゃん!」


佐野くんが、目を覚ませと言わんばかりに声をかける。


どうしてそんなに必死で言ってくるの?

私は待つって決めたんだよ。


すると、佐野くんは私の事を今度はふわりと私を抱きしめて言った。


「見たんだ、俺……

ここに来る前、翼が病院に向かうとこ

心配になって見に来たらやっぱり心ちゃんは一人でいて

それでもあいつが来ればいいって一緒に待ってた


でも来ねぇんだよ!あいつはもう来る気がないんだ」


「や、だ」


抱きしめられた腕を押し返す。