「ごめん、本当に」


約束はきっと

守られない。


現実はおとぎ話のようにうまく行かなくて

本当にハッピーエンドになるのかさえも分からない。


彼の去って行く後姿を見るのはもう何度目だろう。


そのたびに


”行かないで”


って心の中で言ってはしまいこむ。


私だけを見てくれればいいのに。


「翼くん……」


私はこの日、彼の名前を小さくつぶやいて

一筋の涙を流した。