どんなに涙があふれても、この恋を忘れられなくて



「あ、うん!」

私も慌ててカバンを持つと

佐野くんと理沙に手をふって教室を出た。


校舎まで出てしばらく歩くと星野くんは言う。


「寒いな」

「うん」


季節は11月。

少し冷えてきて今はマフラー無しでは寒い。

すると、星野くんは私の手を握って


「心……」

と私の名前を小さくつぶやいた。


ドキンー


「な……っ名前……」



「だって佐野が呼んでるから」


そうやって顔を逸らす星野くんにきゅんとする。