「ねぇ、怒ってる」


「べっつにー」


口を膨らませながらそう答えると

星野くんは本当にごめんと頭を下げて謝って来た。


別に、星野くんが悪いわけじゃないって分かってるけど

やっぱりちょっと寂しかったんだもん。


でも、いいや。

私にはこれがあるから。


星野くんのポケットから出たキーホルダがチラリと見えて

私はすぐに機嫌をよくした。


「次はちゃんといてよ。

最後まで……」


小さくつぶやくと星野くんは「おう」と笑った。


「電話の子は平気だったの?」


あんなに慌ててたから少し気になって聞いてみると