はっと我に返ったのは、


下校するために、人が下駄箱を通ったから。


言うつもりの無かった言葉を言ってしまった。


「あ、……の」


訂正をしよう思ってもなんて口に出していいか分からず言葉を詰める。


頭がパニックになって慌てていると、星野君は言った。


「それ、今俺が助けたから

お前が言う王子様みたいなのに見えて言ってるんじゃないの」


「そう……かな」


まっすぐ私を見る目に射抜かれて考えもしないで言葉を紡ぐ。


「きっとそうだよ」


「そっか」


私の初恋はあっけなく、幕を閉じた。


それから、私達は何事も無かったかのように佐野くんと理沙の所に戻った。