オレンジとレモン



―――プルルルル。



しばらくコール音が、受話器越に、部屋に響く。




【もしもし】



「あ、麻理??」



【うん。どうした?何かあった?】



麻理の、私を気にかける優しい言葉。


そして、
今日、遼が一緒に帰ろうと誘ってくれたこと、毎日一緒帰ろうと言ったこと、すべてを話した。




【うらやましいな〜】



そうして返ってきたのは、たったの一声だけだった。