眩暈がして、また意識が遠退いてく。
なんで、こんなことに―――


また意識が 僕 に戻って、ポケットを弄りケータイを取り出して時間を確かめる。
夜の9時か・・・
まだ行動を起こすには早い。
待っててねアリス。今僕が殺しちゃうから・・・
僕が消える頃には全部終わらせるから・・・

あの男、今日もアリスに話しかけやがって・・・
どんな内容だとか関係ない。ただ妬ましい。
許せない。ねぇアリス。代わってよ。
その男僕が殴ってあげるから・・・
そうアリスに念じたときに視界がパッと広がる。
「―あ・・・」
あの男の手をとってしまうとこだった。
「ったく、お前は・・・」
男は手を延ばしかけたアリスの手をとろうとする。
その汚らわしい手でアリスに触れるなっ!!!!
思わず叫びそうになったけどここは押さえて手を避けた。
「いらない。自分で立てる。」
自分で立ち上がってあの男をキッと睨みつける。
汚らわしい、早く帰って仕事をしたい。
「じゃあ、僕用事あるから。またね」
「はっ?あ、おい待てよまだ話は終わってなガッ!!」
「アリスに触るな!!!!」
くそ、くそっ!早く洗わなくちゃっ!
あの男帰ろうとした僕を引きとめようとアリスの手を掴みやがった。
あいつの手がアリスに触れた時、鳥肌が一気に立った。
思わず体が動いてしまい、男を思いっきりぶん殴った。
「て、めぇっ・・・!何しやがるっ・・・」
「黙れ!!あぁ、早く洗わないとっ・・・!」
低い声で怒鳴りつけて、急いで女子トイレへと向う。
思いっきり蛇口をひねり、執拗にゴシゴシと手を洗う。
「汚い、汚い汚い汚い汚いっ!!!」
あの男、許さないっ・・・!
アリスに話しかけることすらおぞましいのに、あの男ときたらアリスに触りやがったっ・・・!
「許さないっ・・・!僕のこの手で消してやるっ・・・」
メラメラと燃える嫉妬と執着の炎。
――、今夜、あいつの大切なものから全部殺しちゃおう。それが一番いいや。

そして今、あの男に擦り寄る汚い女を始末したところだ。
この光景をアリスにも見せたいなぁ、と思ったら意識がぼやけてきて。
しまった――・・・
そう思ったときには意識が戻ってきた。
――アリス、見たかなぁ・・・
ふふふ。
ちょっとだけ嬉しいな・・・
足元が血の海なのに優しく微笑む姿は狂気を感じさせる。
さて、と。
後始末しなきゃ。
あーぁ、面倒だなぁ・・・
そんなことを思いながらもう誰かもわからないようなただも肉の塊を袋に詰めて運んでいた。