純情のち、S彼氏

次の日。

「桃花ー、じゃあね!」

学校が終わり、分かれ道で梨央と別れて、私はそのまま塾へ向かった。

(早く、早く着け)

立花がいるかはわからないけど、なるべく早く会いたい。

私、こんなに立花が好きだったんだなぁ。

塾に着き、階段を上り始めた時、

「櫻井じゃん」

立花の声。

「立花~っ」

最近立花によく会うなぁ…毎日幸せ。

「今日少し早くない?」

すぐ隣で階段に上りにくる立花。

「あはは、早く会いたくて」

立花に出会ってから、私はクサイ台詞を言うようになったようだ。

「櫻井って恥ずかしい事フツーに言うよな(笑)」

立花の階段を上る速さが一気に速くなった。

そして、私の一段上で立ち止まり、私の方を向いたかと思うと、私を見つめる。

「どうしたの、立花?」

「櫻井」

「え?」

「目、閉じて」

……!