純情のち、S彼氏

家に帰ると同時に、ケータイが鳴った。

(誰だろ)

受信ボックスをタッチする。

《立花翔太》

(立花…!)

[今家の近く?]

(真ん前なんだけど)

[家の真ん前にいる]

そう送ると、後ろから声がした。

「櫻井。ちょーど近く来たから、いるかなと思って」

「立花っ」

ウソ。嬉しすぎる…。

「あはは(笑)ビックリした?」

「ビックリというか、嬉しい」

私が笑いながら言うと、立花は照れたように笑って、

「俺も、会いたかった。良かった、会えて。じゃ、明日な」

「うんっ」

少し名残惜しく感じたけれど、立花に手を振った。

すると、立花は私の手を握り、指を絡ませ、口元に運び、私の手の甲にキスをした。

「~っ///」

(立花って意外に積極的…?)

「バイバイ、櫻井」

立花が帰る背中を見つめながら、(背中、大きく感じるなぁ)なんて考えてしまった。