その消しゴムは、立花の方に転がっていく。

(や、やばっ!)

「ん?消しゴム?」

立花はその消しゴムを拾い上げる。

(もう、ダメだ。最悪すぎるー)

恥ずかしくて、知らないフリをしていると、立花が、しばらくして、

「これ、櫻井の?」

「う、うん…」

「はい。落ちてたよ」

平然と消しゴムを渡す立花。

(あれ?バレなかった?)

「ありがとう…」

その消しゴムを受けとろうと手を伸ばす。

すると、いきなり立花がその私が伸ばした腕を掴み、自分の方に引き寄せた。

「俺も」

そうつぶやくと、立花は私の腕を放し、消しゴムを返した。