呆れて冷めた目で見つめると、焦りながらお父さんの手紙を読む。


「『いつまでも俺達は友達で家族。いつか愛華が恭を選んでもそれは変わらない。俺は恭も愛華も大好きだから』…馬鹿だな、本当に」


泣きそうで、でも微笑みながらその手紙を見つめていた。

私は彼の隣に立ってポケットの中にカプセルを入れた。


カプセルに書かれているハートマークと殴り書きで『俺と愛華と恭』。


そっと彼から離れて、カプセルを見ている彰さんのところへ。



「恭、泣いてんの?」


『多分。だから今はひとりにしておかなきゃ。私がいると泣けないでしょう?』


「大人だな、梓ちゃん」


『彰さんはどんなことを書いたの?』


「…いやぁ。もう過去に戻りたいくらい。戻ってぶん殴ってやりたい」


彰さんは、手紙をくしゃっと握り潰してポケットに入れた。

内容が気になったけど、恥ずかしい内容なのだろう、苦笑いをして溜息を吐いた。


他の人達を見てみれば、笑っている人もいれば彰さんと同じような反応をする人、怒って破いてしまう人がいた。


「梓」


彼が目を擦りながら戻ってきた。


『お母さんと私って本当に似てるかもしれないね』


「え?」



私も彼のことが大好きだもの。



なんて、彼には言わない。いつもは、親として好きとは言ってるけどね。