「夜遅くまで飲むことになりそうだし。それに…」


『私は別にいいよ。ちゃんと家で待ってられるよ』



もう小さい子じゃないから、家事だって留守番だって出来るよ。

私のせいで会えないなんて嫌。


ハガキを彼に渡して、伝える。


『行ってきて』


「…じゃあ、梓も一緒に行ってくれる?」


え?



「梓も行くなら俺も行く。じゃなきゃ、行かない」



いきなり子供のような我が儘を言い出す。

私が行ったら邪魔になっちゃうよ。大人の行くお店についていくわけにもいかないんだし。


お酒を飲むとなったら、私はもっと邪魔になる。



「酒はしばらく飲まないことにしてるんだ。最近、腹が気になって…」



嘘、嘘、嘘。


お腹、引き締まっているの知ってるんだよ。筋肉ついてること、知ってるんだよ。



「…どうしてもダメ?」



どうしてそんな悲しそうな顔をするの。断れないって知っててやってるんだ。



『ズルい』



私はメモ帳を置いて頷くと、彼は大袈裟に喜んだ。