沈んでは浮かんで、また沈んで。

ゆらゆらと揺れているような不思議な感覚。

あぁ、まただ。夢だと分かっているけれど、気持ちが悪くなる。


生温い水の中に閉じ込められているようで息苦しさを感じる。



自分のお布団から出て、彼のお布団に潜り込む。寝ぼけながら私を抱きしめてくれる。

いつになったら、この不思議な夢から抜け出せるのだろうか。


「あず…さー」


寝言を言う彼の手を掴むと、ニコッと笑ってまた何か呟いて眠る。

この不思議な夢を見た後は、いつも彼の寝顔と寝言で安心する。


また目を閉じて、今度こそあの夢を見ないで眠ろうと彼の手を強く握る。


きっと彼が夢の中でも助けてくれるから。






「梓、朝飯出来たぞ」



目を開けると、何故か嬉しそうに微笑む彼がいた。

さっき寝たばかりな気がしたが、もう朝の9時。慌てて飛び起きると、私の寝癖を直してくれた。


彼は毎日お布団に潜り込んでいる理由を聞いてこない。

きっと気付いてるはず。私がなかなか寝ないことも、何かに怖がっていることも。



それでも何も言わずにいつも通りの笑顔で私を起こしてくれる。



お布団から出て、彼とリビングに向かう。