「ぐすん…グスッ…」


「なな…なな、一緒に出かけたいところがあるんだ」


「出かけたいところ?」


「そう…一緒に行こう」


そう言ってお父さんは私を車に乗せて、ある場所に向かった。


ある場所とは…よくお母さんと来ていた公園だった。


「なな…空を見てみな。お母さんは、お空になってこれからもずっとななのこと、見てるよ」


「空になって?」


「そう!お母さんはな、ななに笑顔でヴァイオリンを弾いてほしいんだって。笑顔じゃなかったらお母さん、泣いちゃうよ?」


笑顔で…


「分かった!なな、まだ笑顔で演奏できないかもしれない…けど、笑顔で弾けるまで頑張るよ!」


それから私は、今まで通りの演奏ができるまで業界から姿を消した。