ロリポップ

 何度も押そうとしてはやめて、を繰り返してようやくかけた電話。

 電話の向こうの彼女は眠そうな声だった。

 それもそうかと思って、遅くに電話をかけた事を後悔したけど、それに気づくのが遅かった。

 彼女は、夢にまで出てこなくていいから、と言って何も言わなくなってしまった。


 「ねえ、侑君?」

と怒ってきていた莉那の声に呼ばれるまで、ぼうっとしていた。

 彼女の言葉の意味を考えて・・・・・。


 結局、次の日、電話をするのはやめてメールを送った。
 
 昨日の電話の事と初詣の誘いをした。

 僕はまだ行っていなかったからだったけど、よくかんがえれば彼女は行っていたのかもしれない。

 そんな事まで考えてない辺りが、余裕のなさって事か・・・・・。


 待ち合わせに現れた彼女は相変わらす綺麗で、ふんわりと優しく微笑まれると抱きしめたくなる衝動を抑えるのに必死だ。

 彼女は赤くなった顔に手を当てて、耳が痛いって。

 可愛い。

 何を願ったのか、結局、お互いに分からなかったけど。

 僕は、彼女が笑顔で過ごせますようにってお願いした。

 最近、また、少し、暗い顔をしている気がしてたから。


 結局、スーパーの事も聞かずにはいられなくなって、カフェで聞いたとき彼女はスッピンだったから、と明らかに嘘をついた。

 寝ぼけて言った、夢にまで出てこなくていいから、の言葉の意味も結局は教えてくれなかった。



 6時に莉那を実家まで連れて帰る約束が無かったら、彼女ともっと話せたのにと思った。

 あんまりにも元気が無い彼女に、僕の大好きなロリポップをあげた。小さい時、扁桃腺が弱くて熱を出した時に、よく舐めたロリポップ。

 苦しい時に和らいだ記憶からなのか、落ち込むとよく食べてしまうロリポップ。

 彼女に元気を出して欲しくて渡したイチゴミルクのロリポップ。

 少しは元気が出たのかな・・・・・。