ロリポップ

「なんか、久しぶりだね?」



「そうですね、二週間ぶり?くらいですね」



 二人で休憩室のベンチに座りながらまったりコーヒータイム。
 今日は友華ともランチが別だったので、近くのパン屋さんでパンを買って食後のコーヒーをと思っていたら、久しぶりの恩田君。
 和むわ~、なんかほんわかの雰囲気で癒されるわ~。
 休憩室は昼休みだからか人がいなくて、私と恩田君のコーヒーの匂いがするだけ。
 喫煙スペースはべつだから、男の人はそっちへ行っているのかもしれないけど。



「恩田君、ご飯食べたの?」



「ご飯、ですか?食べてないような・・・」



「え!?食べてないの?昼休み、あと10分ぐらいだよ?私が引きとめたからだね、ごめん。早く食べて来ないと」



「いいですよ、僕、あんまりお腹空いてないし。午後からも外に出るんで、コンビニででも買います」



「ダメだよ、ちゃんと食べなくちゃ!」



 自分は満腹で寛ぎの一杯、と思っていたけれど、恩田君はさっきまで外回りで食べる時間はなかったのに、私のコーヒータイムにつき合わせてしまっていたのだと気が付いたら、一刻も早くご飯を食べて欲しい。
 社員食堂はもう、ランチは残っていないだろう。
 外に出て食べるにも時間が無い。
 ふと、自分のバッグに目をやるとさっきパン屋さんで買ったパンが見えた。
 焼きたてのクロワッサンとサンドイッチが残っている。
 美味しそう!!と勢いよくかっては見たものの、自分の食べきれる量を遥かに超えた量だったと会計を済ませてから気が付いた。
 明日の朝にでも食べるか、と思っていたけれど、まだ暖かいクロワッサンも新鮮な野菜の挟まれたサンドイッチも、早く食べたほうが美味しいに決まっている。
 ごそごそとバックの中からパン屋さんの紙袋を取り出す私を、恩田君は不思議そうに眺めている。



「これ、良かったら食べない?買いすぎて食べ切れなかった分だから、綺麗だし。あ・・・残り物で申し訳ないけど」



 袋からはクロワッサンのバターの匂いがふわりとする。
 


「でも、逢沢さん・・・」



「美味しいうちに食べてくれる方がパン屋さんも嬉しいと思うし」



 遠慮がちに手を伸ばす恩田君に、はい、と二つの紙袋を渡す。
 私は残りのカフェオレを飲みながら、いただきま~すとクロワッサンをほお張る恩田君を見ていた。
 ぱりぱりのクロワッサンが、サクっと音を立てる。



「美味しい!これ、どこのクロワッサンですか?」



 本当に美味しそうに聞くから私も嬉しくなる。




「会社の裏の通りのパン屋さんだよ。美味しいよね、それ。今度、教えてあげるよ」


 お願いします、とパクパクと食べながら、美味しいを繰り返す恩田君はなんとも幸せそうでこっちまでそんな気持ちになる。
 和む・・・本当、一家に一人恩田君欲しいかも。