小学校の校庭の
ジャングルジムに絡まって
出られなくなった神様の親友を助けてやった
そしたら
「お礼に一つだけ 願いを叶えてあげるよ」
と言うので
ぼくは
とてものどが渇いていたので
「ここの蛇口をひねったら オレンジジュースが出るようにしてください」
と言った
蛇口を上に向け
ぼくはごくごくと飲んだ
オレンジジュースだった
驚いた
こんなこともあるんだなー
と思った
隣りのをひねるとウーロン茶が出てきた
「追加サービスだよ」
ぼくが振り返ると
神様の親友はもうそこには居なかった

時は流れ
ぼくはなんであのときあんなことを頼んだのだろうと
ひどく後悔していた
もっと
なにか
有意義なことがあったのではないか
そして
ぼくは あの日
神様の親友が絡まっていたジャングルジムへ
いまでもたまに顔を出した
けれど
もう二度と
神様の親友はそこで絡まってはいないのだった
嘘だったようにも思える
けど
あの日の 蛇口をひねってみると
確かにオレンジジュースは流れるのだった
隣りのウーロン茶も
ぼくは
追加サービスがあって良かったな……
と思った
ぼくは大人の味覚になっていたから