屋上で俺は落ちてくる雨を眺めていた

すさまじい数だ

俺はいままで雨を一粒ずつ認識したことはなかった
雨はまるで円循環のフィルムを見せられているような錯覚に陥らせる

けど今日は違う風に見えるんだ

俺が少し変なのかな?

雨のそれを構成しているその一粒一粒ずつがはっきりと目で確認できるし


それがなんだか哀しい

こいつらが何をやっているのかが突然、わかってしまった



皆、地面に落ちないように必死で抗っているのだ
隣りの粒よりも少しでも遅く落ちようと




必死に浮き上がろうとしているのだ
しかし重力は何も言わず


ただ次々と落としてゆくばかり