人間クローバー

肌寒い風が竜也の頬をつたう。

携帯で時刻を確認すると21:48分だった。



深く息を吸い大きく吐くと竜也は立ち上がった。

相変わらず足は震えていたが先程よりは震えていなかった。

屋上の四隅に張られた網状のフェンスに向かい竜也は歩き出す。




フェンスの前まで来ると竜也は人の気配に気づいた。

フェンスの下の死角から竜也と同い年位であろう少女が暗い中でライトアップされた夜の街を呆然と見ていた。


竜也は惚けた顔で少女を黙って見つめていた。

口は半開きで何とも情けない表情で少女を見つめる。

少女は、ゆっくりと目をつむり鼻唄を歌っていた。

その姿からは、とてもこれから自殺をする様には見えなかった。

少女は竜也と比べると、あまりにも態度が落ち着きすぎている。