等心大〜tou・sin・dai〜

「あれ?
 彩きてたんだ」

「うん」



友貴は
特に驚いたふうでもない。

私がいるのは
あたりまえ、という感じの態度に
うれしくなる。




「ねぇ何か食べに行こうよ」

「え〜…
 俺疲れちゃったからさ
 ピザでもとろうぜ」

「ピザかぁ…」



宅配のピザって
おいしくないじゃん。

私はちょっとふてくされた。




そんな私の表情を見て
友貴は小さくため息をついた。



「じゃあ食いに行く?」

「…いいの?」

「いいよ」



たちまち顔がニヤける私って
本当に我ながら単純だ。




友貴を見ると
なんだか
本当に疲れてるような顔だ。





――もしかして

私って、
友貴を振り回してる?





「ほら、行くぞ」

「あ、うん」


友貴の後ろについて
部屋を出る。





私はさっきの
友貴の顔を思い出して
少し反省した。




動きたくないとき、あるよね。
誰だって。

ごはん、作っといてあげれば
よかったな。




「よし、ピザ食いに行くぞ」

「やっぱりピザなの?」

「さっきピザって言ったら
 食いたくなった」 

「たんじゅ〜ん」




口調は優しかったけど
いつもより早足なのが
友貴のイラだちを感じさせた。



でも私は
ちっとも素直じゃないから
ごめん、なんて言えなかった。