窓からの
弱い朝の光で目が覚めた。


起き上がって隣を見ると
大川さんがまだ眠っている。
時計を見ると
まだ朝の5時半だった。





――昨夜。

思い返してみる。
悪くなかった。

この人と
毎晩のように体を重ねるのも
悪くない、そう思う。
これは大事なことだ。




「…ん……」

大川さんが目をこすり
もぞもぞ動く。


その頬に
かるくキスをすると
大川さんは私を抱きしめた。



「仕事だから
 もう帰らなきゃ」

私がそう言うと
大川さんは甘えた声を出す。



「だめ。離さない」

「でも一度帰らなきゃ」

「もう一回戦」

「ばか」


抱き合いながら
クスクス笑う。

これじゃバカップルだ。




「ホントにもう行くね」

私がそう言って体を離すと

「送ってくよ」

と大川さんが起き上がった。



「車の音が聞こえたら
 親が起きちゃうもん」

「じゃあ挨拶すればいい」

「なぐられるかもよ」

「あはは
 そりゃコワイな」

「ホントにもう行く」


私がそう言って
ベッドの下に落ちた服を
着始めると
大川さんも服を着た。


「まだ寝てていいのに」

「いや、下にタクシー呼んどく」



そう言って
ケータイを出し寝室を出た。



ひとりになって
鏡が見たい、と思ったけど
この部屋には鏡がない。



バッグはリビングに
置きっぱなしだった。


メイク落としてないから
チェックしたかったのにな。
まぁウォータープルーフだし
大丈夫でしょ。





またすぐに
大川さんがドアを開けた。

「タクシー10分で来るって。
 こっちでコーヒーでも飲む?」

「あ、私入れようか?」

「いいよ、今日はお客さん。
 またこの次に頼むよ」



――またこの次。

ちょっとドキッとしてしまう。

私とのこれからを
大川さんはどう考えてるんだろう。