等心大〜tou・sin・dai〜

「大川さんって
 おいくつなんですか?」

「年?32です。
 西村さんから見たら
 オジサンですよね」

「そんなオジサンだなんて…
 大川さんは素敵です。
 それに7歳しか違わないし」

「じゃあ西村さんは25歳?
 いいなぁ、若いなぁ」



――若い、だって。

久しぶりに言われた気がする。
24過ぎてから
“若い”なんて
めっきり言われなくなった。



酔いも手伝って
楽しい気分になってくる。

寿司も
次々と運ばれてきて
どれも美味しい。


大川さんは
友貴のように
自分のペースだけで
食べたりしない。


早すぎないように
ちゃんと
私に合わせて食べてくれる。





――やっぱり大人。

かなりポイント高い。
っていうか
悪いところが見当たらない。



「女の子だから
 食べてるとこ見られるの
 恥ずかしいよね?
 目合わさないで話しますね」

冗談めかして
大川さんが言った。



女心が
よくわかるなぁ。
やっぱりものすごく
女グセが悪いとか?

こんな素敵な出会い
あるはずない、って
さっきから疑心暗鬼な私。


「女の子の気持ちが
 よくわかってるんですね」

探りを入れてみる。


「あぁ僕、
 姉も妹もいるんですよ」

「そうなんですか!」

「だから色々聞かされるんです。
 今日こういう男がいて
 最低だった、とか」

「あはは
 私ひとりっこだから
 うらやましいです」

「そうですか?
 女性の扱いには慣れますけど
 別にいいことないですよ」



なーんだ。
私のとりこし苦労?

っていうか
私って性格わるい…
ちょっと自己嫌悪。
疑いすぎたな。