等心大〜tou･sin･dai〜

Pipipipipi…


携帯のアラーム。

隣でまだ
友貴が眠っている。



私はベッドから起き上がり
キッチンまで行くと
ヤカンに水を入れて
火にかけた。





お湯が沸くまでの間
ハミガキをして
顔を洗う。

美容液を塗っていたら
ちょうどお湯が沸いた。





コーヒーの煎れ方には
ちょっと自信がある。

まぁ私の腕、というより
豆の実力かもしれないけど。



少しお湯を注いで
豆を蒸らすと

部屋中
コーヒーの香りで
いっぱいになる。





「コーヒー入ったよ」

友貴を起こす。

眠そうに
目をこする友貴。
なんだか子供みたい。



「あ〜眠い…」

「でも遅刻しちゃうよ」

「誰かさんがゆーべ
　寝かせてくれないから」

「ばか」




のろのろと
友貴が起き上がって
コーヒーをすする。




「彩のコーヒーはウマイな」


私はその横で
メイクをする。


「ホメても何もでないよーだ」

「あはは」





友貴も私も
朝は食べない派だ。

食欲がないから
コーヒーだけで済ます。




「じゃあ私、先に行くね」

「あぁ」




一度自宅に帰り
着替えてから
仕事に行かなきゃならない。


昨日と
同じ服で出勤したら
何てウワサされるか…






急いで
自宅へ向かい
玄関を開けると
ちょうど父と会った。