「病院戻ろうか?」
「違うの…痛いとかじゃなくて」
「どした?」
「友貴に…話さなきゃいけないことがある」
「…とにかく部屋帰ろうか」
泣きじゃくる私の手をひき
体をいたわるかのように
ゆっくり、ゆっくり歩く友貴に
また泣けてきた。
手のひらから伝わる体温も
心配そうな表情も
すべてが温かくて、優しい。
私はなぜこの手を離そうとしたのだろう。
温かさも、優しさも、
友貴の持っているものは
お金では決して買えない
何にもかえがたいものなのに。
部屋に着くと
友貴がホットミルクをいれてくれた。
「これ飲んで落ち着け」
こくん。
一口飲むとミルクからはほんのり砂糖の甘さがした。
「どうしたんだ?」
「友貴…ごめん…ごめんね」
「どうして謝るんだよ」
友貴の目は
本当に、心配そうに
私を見つめていた。
まっすぐに見れなくて
私はうつむいた。
「私…友貴とは結婚できない」
時間が、止まった。
怖くて
友貴の顔を見ることができない。
ひどく長く感じる沈黙を
先にやぶったのは友貴だった。
「子供…嬉しくないのか?」
傷ついた声。
「…私1人で育てる」
「なんでだよ」
「・・・・・」
「俺、そんなに頼りないか?」
「違う、違うよ」
「じゃあなんで」
「…友貴の子じゃ
ないかもしれない」
言いたくなかった言葉。
でも言わなきゃいけない言葉。
また、しばらく沈黙が続き
一言だけ、友貴が言った。
「とにかく…
しばらく考えさせて」
傷ついた友貴は
まるで捨て犬のような表情だった。
「違うの…痛いとかじゃなくて」
「どした?」
「友貴に…話さなきゃいけないことがある」
「…とにかく部屋帰ろうか」
泣きじゃくる私の手をひき
体をいたわるかのように
ゆっくり、ゆっくり歩く友貴に
また泣けてきた。
手のひらから伝わる体温も
心配そうな表情も
すべてが温かくて、優しい。
私はなぜこの手を離そうとしたのだろう。
温かさも、優しさも、
友貴の持っているものは
お金では決して買えない
何にもかえがたいものなのに。
部屋に着くと
友貴がホットミルクをいれてくれた。
「これ飲んで落ち着け」
こくん。
一口飲むとミルクからはほんのり砂糖の甘さがした。
「どうしたんだ?」
「友貴…ごめん…ごめんね」
「どうして謝るんだよ」
友貴の目は
本当に、心配そうに
私を見つめていた。
まっすぐに見れなくて
私はうつむいた。
「私…友貴とは結婚できない」
時間が、止まった。
怖くて
友貴の顔を見ることができない。
ひどく長く感じる沈黙を
先にやぶったのは友貴だった。
「子供…嬉しくないのか?」
傷ついた声。
「…私1人で育てる」
「なんでだよ」
「・・・・・」
「俺、そんなに頼りないか?」
「違う、違うよ」
「じゃあなんで」
「…友貴の子じゃ
ないかもしれない」
言いたくなかった言葉。
でも言わなきゃいけない言葉。
また、しばらく沈黙が続き
一言だけ、友貴が言った。
「とにかく…
しばらく考えさせて」
傷ついた友貴は
まるで捨て犬のような表情だった。


