「あ?それじゃあ嫌がらせの意味がねぇだろうが」

「アンタ教師のくせに何やってくれちゃってんの!?」

「何って、黒板消しで…」

「そういうことじゃないわっ! 生徒に嫌がらせってどういうことか聞いてんのっ!」

「そんなの、お前が毎回毎回授業で寝るのが悪いんだろうが」

「くっ…!」


そう言われてしまえば何も言えない亜子。悔しそうにする彼女に勝ち誇ったような表情を浮かべる。

しかし、それも一瞬で、ようやく煙が無くなり彼女の顔が見えてきた笹倉は柄にもなくプッと吹き出す。


「先生?」

「…っ、おま、顔、すげぇっ!」


肩を震わせて笑う彼にハッとした亜子は意味もなく顔に手をあてる。

クラスメートたちも彼女の顔を目にするとクスクスと声を漏らした。


「うぅー、先生、顔洗ってくるっ!」


どんな顔になっているのかは分からないが、とりあえず笑える顔になってしまったのだということは理解出来る。

恥ずかしくなり逃げ出すように教室を飛び出す亜子。


そして。


「なんじゃこりゃーっ!」


真っ白な自分と対面して叫ぶまであと数秒。


【END】