今日もまた、すやすやと授業中にも関わらず気持ちよさそうに眠る亜子。

そんな彼女にまたまたニヤリと悪魔の笑顔を浮かべた笹倉は、周囲をいつものように脅した後、黒板消しを両手に一つずつ持って移動する。

クラス中は今度は何をする気だと恐る恐るといった様子で亜子と笹倉に視線を向けるが、無論笹倉はそんな視線を気にしない。

彼は亜子の目の前で立ち止まる。今日の彼女は机に突っ伏しておらず、頬杖をついて目を閉じていた。

それにさらに笑みを深めた笹倉は、黒板消しを亜子の顔近くまでもっていくと、それを重ね合わせるように思いっきり叩いた。

ぱふっとチョークの粉が舞い彼女周辺にも被害が出たが彼は全く気にせず、寧ろその被害を大きくしていく。


そんな時。


「ぶぇっくしょんっ!」


盛大なくしゃみが教室中に響いた。


「っ、何これ」


涙目になりながらパタパタと手を動かし白いような黄色いような煙を払うが、それは増えるばかりだ。

不思議に思った亜子は目を擦りながら未だに動く手を捉えると、顔を認識するために見上げる。