「キーーリーーヤーーーーっ」


真面目に机に向かって研究しているキリヤに向かってダッシュする小柄な少女。
少女はせーのっ、と一言いうと、キリヤの背中に飛び乗る。

キリヤと呼ばれた少年、つまり俺は、「ぶふお」と言い残すと、机に打ちつけられた。
その様子を少女はケラケラ笑いながら眺めている。

「やっぱり面白いね キリヤ」

片目をうぃんくしながら話かける少女に鳥肌が立つ。

我が"彼女"ながら、顔に似合わん事するといつも思う。


「で、何が面白いんだ アンナ」

アンナはまた くふ、 と笑うと俺を見据えて言う。

「だってキリヤ、「ぶふぉ!」とかいつも言うんだもん 可笑しくて笑っちゃう」


アンナは俺の彼女。まだ見習いの魔術師。


彼女が使う魔法はいつも子供じみている。
例えば<<ケーキをこの部屋いっぱいにする魔法>>を使って部屋を生クリームでベチョベチョにしたり。
長くて綺麗な爪に憧れたのか<<爪を伸ばす魔法>>を使えばニョロニョロしてる魔女の爪ようになる訳だ。もしかすればあれより長いかもしれない。

もう16歳だっちゅーのにかなりの童顔で、よく小学生と間違えられることもあった。


アンナは俺に構ってほしいのか、俺の周りをちょろちょろしている。
構ってやろうとアンナを呼んで、隣に立たせる。