王子と歌姫


中庭に取り残された俺、赤城来翔(あかぎらいと)は今とてつもないドキドキ感に襲われている。

なぜか?
あまり女に本気になったことがない俺は
俺に見向きもしない女、桜音羽恋桜を
惚れさせてやろうと思って自ら近づいた

なのにあいつは俺を嫌う一方だ

だがついさっき、
走っていく前までの会話では
いつもの興味ない死んだような目をしている
恋桜ではなく、生き生きとしていたんだ

ふっと笑って走っていく姿は何と言うか
やばい。やばいとしか言い用がないほど
かっこよくて素敵だと思った

それに見とれて追いかけることを
忘れて今なのである

体力測定のときはもっとかっこよく見えるのだろうか。期待して教室に戻った