次の日、昨日のように中庭で歌っていると
学校の王子様こと赤城来翔が現れた。

「おはよ。相変わらずくらい歌うたってんのなー」

いつもは笑顔を絶やさないこいつなのに
俺とこうして会うときは何故か無表情になる。
俺が興味無いからか、
それとも俺は休憩場所のような存在なのか。
どちらにせよ、いつも無理して笑っていることには変わりない。

「俺が何歌おうと俺の勝手だろ」

そうだけどさぁ…といいながら近づいてくる

俺の後ろで止まったかと思うと
ポケットからスマホを抜き取りいじり出した
まぁ、恋桜ってバレてるし
隠すようなものはない俺は抵抗などしない。

すると、曲が流れ出した。

「それ………」

俺が初めて投稿した曲。
俺が一番好きだった曲だ

…なんでだろう。
目の奥がジーンと熱くなり、
涙が溢れだしそうになる

「今まで楽しそうに明るい恋愛曲歌ってるのにさ、去年から失恋曲しか歌ってなくない?」

「ほっとけ」

声が震えて上手く口に出来ない…

下を向いて涙をこらえてると、
背中から温かい温度が伝わってきた。

抱きしめられてると気づいた頃にはもう遅い。
あいつの手は俺の腰に回り、
あいつの顔が俺の顔のとなりにあった

「やめ…」

やめろと言おうとした。
離して欲しいのに…

「黙って」

強引なのに優しい声には逆らえなかった