──まじかよ。
俺と水野が隣とか……、嬉しすぎる。
「よろしくー」
実は心の中で喜んでいるのを悟れないために、
軽い感じでそう言う。
水野は俺を見ると少し間があいてから
口を開いた。
───「よろしくねっ」
俺が素っ気なく言ったのに、ニコっと笑う水野。
ふわっと笑う水野は、もう天使みたいで。
その笑顔は破壊力バツグンだ。
「………、お、おう」
完全に動揺してしまった俺。
だせぇ……。
でも、いきなりあんな笑顔で言われると、やばい。
もう過ぎたことなのに、まだ心臓がドクドクとうるさい。
──あー、何なんだよ……。
俺、きもい。
何で…、水野を見るとこんな風になるんだよ…。
「……♪~…♪♪~………」
───そんな事を考えていた最中、ふと横から聞こえてきた鼻歌。
そーっと横を見ると、水野が歌っていた。
ただ窓から見える空を見ながら、小声で歌っている。
多分、結構小さい声だから、聞こえてるのは俺だけ。
「~……♪♪…♪~」
俺が見ているのに気付いてないのか、ずっと歌っている水野。
───あぁこの歌。
俺の友達が好きって言ってたような……。
そういえば、よく歌ってたな。
俺の友達が歌うと、ただのむさくるしい男の歌声。
でも水野が歌うと、美しい天使の歌声。
