私の目に映るのは、1人の男子生徒。
眠いのか、少しだるそうに歩きながらこちらに向かってくる。
その人が顔を上げ、私と目が合った。
「っ……!」
その瞬間、さっきまで正常に動いていた心臓が、一気にバクバクと動き出す。
「……お、はよっ!!」
その人─────、勇也は私を見るなり、少し目を見開いて突っ立った。
え、勇也どうしたんだろ?
「…??勇也……?」
「───あ、ごめん。おはよ」
私が呼びかけると、勇也はハッと我に返る。
その様子を間近で見ていたのは、有紗。
面白そう…と、小さく呟いて、私の肩をぐっと掴んだ。
「ねぇ、広瀬クン? …今日の由莉、いつもと違うと思いませんかー?☆」
「え?!」
ねっ?と、いたずらっぽく聞く有紗。
「まぁ…、そう、デスネ」
気のせいか、勇也は少し不機嫌そうに見えて。
……有紗、何て事を聞いてくれたんだ。
私が髪巻いたくらいで…。
勇也も困ってるし〜…。
