「じゃあ、終わったら連絡して。
…迎えに行くから。」



魁星くんは優しく微笑んでそう言った。





そんな言葉にふいに胸が鳴ったけど、



「うんっ!」




私も、魁星くんと同じように笑って、撮影へと急いだ。









…私が立ち去ったあと、







「──…やばい」



魁星くんが、頬を染めながら口元を手で覆い、そんなことを呟いていたなんて
知るはずもなく…。











───
──




「魁星くん!お待たせっ」

「あ、来た来た。お疲れ様」




あのあと、撮影が終わり、私服に着替えてすぐに魁星くんと待ち合わせていた場所へ。



見ると魁星くんはもう着いていて、
壁にもたれながら音楽を聞いていた。




それにしても……。


私はチラッと魁星くんに視線を向ける。







──あぁ…、やっぱりモデルだ。



だって、私を待ってくれていた時も、
正直、何かの撮影をやっているのかと思ってしまうほど画になっていた。




今だって、イヤフォンを耳から外して…


「じゃ、行こうか」


…なんて、私に顔を向ける魁星くんは、ドラマの1シーンに出てきそう。




マスクなんてしてなくても、すぐに誰だか分かっちゃう。



…きっと、魁星くんは将来どうなりたいかはっきりしているんだろう。




それなのに、私は──。




「momoちゃん‼︎」

「えっ?」




突然名前を呼ばれて私はハッとなった。

あ…、私、完全にボーッとしてた…。




「ほら早く、行くよ?」


魁星くんは後ろを振り返り、手招きして私を呼んでいた。



「う、うんっ!!ごめんね!」







…そうだ。今はそんなこと忘れよう。


魁星くんとご飯食べに行くんだから。







そして、私は魁星くんのあとへ着いていった。