「あーっ!またmomo出てるじゃーん‼︎」

「最近 さらにmomo雑誌に載るようになったよね〜」

「Venus.とのコラボ商品 私もう買っちゃった〜!」




目を輝かせながら話す友達。



私は少しびくっと肩が揺れた。



う……、最近こんな話を耳にすることが増えたなぁ。









「…でもさぁ、ちょっと思ったんだけど、momo 雰囲気変わったよね?」







──その言葉に。



どうしてもあのことを思い出して、目から色が消える。




「あー、わかるわかる。なんか…大人っぽくなった…?」

「そうそう!!──ねっ、由莉?」


「え…、わ、私…?」



突然 振られてきた話に困惑する私。


この話はなるべく避けたかったんだけど…。




「うんうん。ここはmomoに超絶似ている由莉の意見を〜、と思って!」


みんなは目をキラキラさせながら私の方を見ている。




…けれど、私の心は鉛のように重い。



「ごめん…、私 雑誌とかあんまり読まないからわかんないや!」



ごめんね?と笑いながら言うと、
みんなは「え、そうなんだ意外!」と言って、また話をし出す。



私はそれを横目で見てから、ふぅ…とため息をついた。








──…私の心は晴れる日が来るのかな…。



そんなことを考えながら、机に突っ伏してゆっくりと目を閉じた。





───
──…





あの日は、どうやって家に帰ったんだっけ。



ただ、気付けば自分の部屋にいて。



「晩ご飯いらない」とだけ、キッチンにいるお母さんへメールを送った。



…本当に誰にも会いたくなかったから。


今の私には絶望、という言葉しかない。








するとお母さんはそれを察してくれたのか、「そう。ゆっくり休みなさい」と返信をくれた。




そのメールを見たあと、ケータイを机に置き、着ていたコートを脱いで、
ばふっとベッドにダイブした。






──私…さっきまで何してたんだろう。


なんだか、夢の中にいるように現実味がわかない。






「ふっ……、」




…でも、頭の中ではちゃんと理解してるんだ。


あれは、夢なんかじゃないんだよ、本当なんだよ、って。





涙で視界がぐにゃりと歪む。



……本当に、夢だったらいいのに。



朝起きたら勇也から電話がきて、
「今日デートするぞ、迎えに行くから待ってて」って、言われるの。






「うぅ…っ、……ふぇ…〜っ」




──だけど、そんなの叶うはずない。





目から大粒の涙が次々とこぼれてきて、勇也のマフラーを濡らしていく。











私はそのマフラーに顔をうずめ、
そしてだんだんと意識が遠のいて行った。