──…勇也は、多分 自分なりに考えた結果だから。

困らせたりなんて、したくないから。


だから、別れたくない、なんて言わない。





…でも、伝えたい想いはたくさんあるんだよ。














「…たしも…、私も、勇也が大好きだよ…っ。
今もずっと好きだよ…!勇也の隣にいるだけで…、幸せだった…」





本当に、私が大変な仕事を頑張れるのは、
勇也がいつも笑顔で「お疲れ様」って言ってくれるから。












「……由莉。」



愛おしそうに、勇也が私の名前を呼ぶ。





すると、頬にひんやりと冷たいものが私を優しく包み込んで。





私は、涙をぬぐいながら、顔をあげた。




目の前にいる勇也は、私の両頬を包みながら、
私をまっすぐ見つめた。






その視線から、目を逸らすことなんてできないくらい。









「…一つだけ話聞いて?






…もう、本当に最後だから………、キスさせて」



今にも消えしまいそうな声でそう呟いた勇也に、
私は大きく首を縦に振った。







「……ありがと」





そう短く返事したあとに、ゆっくりと近づいてるくる勇也のきれいな顔。







……あぁ、こうやって、勇也に触れられるのも、本当に最後。







「ん……」



そして、ゆっくりと、目を閉じた。




勇也は、壊れたものを扱うかのように
優しく、キスをする。






…たくさんの思い出がよみがえってきて、
また涙が出てくる。








…しばらくすると勇也は、静かに唇を離して。


















「……今まで、本当にありがとう。




──ばいばい」










…最後に、私が大好きだった笑顔でそう言って、公園から立ち去っていった。




















「……っ、うぇっ、……っ」












──その公園で少女はただ一人、
大切な人を失くして泣いていた。