キーンコーンカーンコーン…




「はぁ…。」






──やってきてしまった、この時間が。









チャイムの音が聞こえ、時計を確認した私はため息をもらす。




と言っても、最近はこれが当たり前のようになってきているんだけど。



クラスの子たちは、ぞろぞろと教室を出て行く。








「今日は何て言おう……」




放課後。





私はまた、勇也から逃げる理由を考える。




「一緒に帰ろ」と言う勇也に、毎日毎日、私は嘘をつき続ける。






だって…、学校の外では誰が見張っているかわからないんだもん。





……なんて、言い訳ばっかりして勇也を傷つけて。




本当、自分が嫌になってくる。


…まぁ、それも慣れ始めてきてしまったこと。






「……」


もう今日は、勇也に声をかけられる前に帰ろう。



断るたびに悲しむ勇也の顔を見てたら、
罪悪感におしつぶされてしまいそう。






そう思い、私は鞄を肩にかけ、教室を出る。












──ギュッ。




「え…っ??」





その時、右手に突然 訪れた感触にびっくりする。





え、何…?!




私はすぐに繋がれた手を見た。






「……っ!」




そして私は、息を飲んだ。









──ダメだ。




顔を見なくても、繋がれている手を見ただけで、
誰だかわかってしまった。





…懐かしいような、この手の温もり。

…きれいで、とても大きな手。






そして──…、








私がつけている指輪とお揃いのもの。






「………帰るぞ」




──勇也。