「どこだろ…」



──教室を出て、いろんな所を探しても見つからない勇也。



友達と食堂かな…?と思い、見に行くけどやっぱりいない。



うーん…。


私は1人で頭を抱えながら廊下を歩く。



ほんと、どこにいるんだろ。



教室?……でも、私が出た時にはいなかったし。


図書室?……でも、勇也は本なんて読まないし。





もしかして、早退してたり…。


「由莉」



え?

何か、勇也らしき声が聞こえてきたんだけど⁈と思い、声のした方を振り向くと。






「いたーっ‼︎」


…ずっと探していた勇也がいました。




「ねぇ、どこにいたの?」

「トイレ行って帰ってきたら、伊集院に『由莉と一緒じゃないの?』って言われて、
俺も探してたところ。」



…トイレね。

そりゃ、見つからないはずだよ。





「そっか、ごめんね‼︎」

「大丈夫」




勇也は優しく笑って、私たちは教室へと向かった。



そして、ふと思い出した。




…そういえば、クリスマスに誘おうとしてたんだ!


…危ない危ない。

忘れるところだった。




「あのねっ」

「ん?」

「〜…なんでもない…」





だけど、いざ言おうとすると、出かけた言葉が喉で詰まってしまい、
何も言えない。



っていうか…もし断られたらどうしよう。


「あ、俺 用事あるから無理。」とか言われたら?





…2人の間に、沈黙が流れる。






──あぁ、この感じ。

あの時と似てるなぁ…。





あの、遊園地デートの日。



…観覧車を乗り終わった後、何だか、とても気まずくなって
お互い、変な感じになってしまった。



…まぁ、時間が経つにつれて、普通になっていったけど。





…ってそれより!

ちゃんと言わなきゃ!





「あのね、勇也!ちょっと…話があって…」




私は勇気を出して、そう言った。


じ、自分から誘うのって、すごい勇気いるんだなぁ。





「あ、俺もちょうど話あるよ」

「じゃあ先に勇也の話からしてよ!」


…心の準備もできていないし…。



私がそう言うと、勇也は気恥ずかしそうにコホン、と咳払いをして。




「あのさ……、……クリスマスの日って、空いてる?」



…そう、頭を掻きながら聞いた。








「え………。」


びっくりしすぎて、ポカーンと口を開けているだけの私。



「いや、無理だったら別に…いい、んだけど…」


そう言って、私をチラッと見る勇也。



「や、全然 大丈夫!私も、ちょうど誘おうとしてたのっ‼︎」

「え…?由莉が?」

「うんっ」





まさか勇也に言われると思ってなかったからびっくりしたよ、と笑いながら言うと、
勇也は片手で口を押さえた。



そして、どんどん赤くなっていく勇也の顔。