「えっ…?」



怒ってなくて、嬉しかった?



──そう言うのも、勇也の優しさなのかな…。





「……嘘だ」


私は泣きそうになっているのがバレないように、
ポツリと呟く。





「だからー、」



勇也はあぁ゛ー!!っと髪を掻きむしり、目を閉じた。





「…由莉がああやってくれてうれしかったんだよ!
すっげぇ浮かれてたし、今 喋ったらキモいキャラになってるだろうな、って思っただけ!」




言うつもりなかったのに…、と最後に付け足して

勇也は頬杖をつきながら、窓の方にふいっと視線をやった。


「っ//」



──きゅんっっ!!!






…はい。私の心臓 死にました。



嘘。何これ。


か わ い い !!



ふいって何なの?

勇也、照れてるの?



勇也がたまに見せる、可愛いところは
ギャップがありすぎて、たまらなく好き。



「ほんと、に…?」

「うん」

「怒ってない?」

「うん」

「私のこと…嫌いになってない?」

「当たり前だろ」

「良かったぁ……」



勇也はホッとする私を見て、ふと笑った。



そんな優しい笑顔を見てると、私の心もやわらぐ。



…勇也ってすごいや。

私、勇也にベタ惚れじゃん




「あっ!!!」

「今度は何?」

「見せたいものがあるの!!」



そうだっ…、そうだった!!


私は鞄のファスナーを開け、あるモノを見つけ出した。




「ふふっ……じゃーんっ♪」



そして、それを目の前に出した。



「何これ?」

「中、見てよ」

「ん?」



そう言いながら、私の手からそれを取って、ペラとめくった。


私はうきうきと勇也の様子を見つめる。



「『モデル・momoプロデュース!大人可愛いジュエリー』…?」

「うん♪」

「え、Venus.とコラボすんの?」

「そうだよ♪」




勇也はびっくりしたように、パラパラとページをめくって、
少しの間 固まった後、私にそれを返した。




「由莉、それすぐにしまえ。」

「え?何で?」

「momoってバレるだろ」



そう言ってチラっと周りを見た勇也。

…幸い、誰も気付いていない。


「そ、そっか……!」


私は勇也に言われ、慌てて鞄にしまった。




「で、あれどうしたの?」


勇也は周りに聞こえないように私の方に顔を寄せ、小声で話す。



「昨日ね、社長室に呼ばれて、渡されたの!


勇也につられて、私も小声でそう話した。



「そうか…、すごいじゃん。」

「えへへっ、ありがと♪」

「いや、もうマジで。」


勇也は私の頭をポンポンと撫でて笑った。





──その後も、勇也は何回もおめでとう、と言ってくれて
すごく嬉しい気分になっていた。







…その様子を見ていた人は、
店内には、いなかったんだ。