「………あぁ、たぶん、来週かな。引っ越すの」 すっかり消え去った記憶の糸を、なんとか手繰って曖昧に答え直すと、和泉は呆れたように何も言わない。 …何だよ。 しばらく歩くと、駅に着いた。 切符を買って電車に乗り込むと、車内は結構空いていた。