実里は器用に蜜柑の皮を剥くと、一欠片を俺の口に近づける。 受け取ろうと手を伸ばしたら、阻止された。 「…だめです」 「……?」 「……っ、あ、ぅ…く、くく口、ああああ開けてください…っ!」 言ったあと、実里の顔は一気に赤く染まる。 ……何この人。 可愛すぎるし、その顔反則。 「…はい」 口を開けると、実里は震える手で俺の口に蜜柑を入れた。