「今、裕樹からメールが来たんだけどな。」
「え、やっぱり無理って?!」

アタシは嬉しそうにベッドから起き上がる。
やっぱり、無理だよね!!
親が許さないよね!!

「…期待してるところ悪いんだけど…明日、迎えに来るって。」

…はい?
明日、迎えに来る?
早すぎでしょ…。ていうか、親は許可したの?!

「アイツの両親、外国でさ。知らせるの面倒だから知らせないって…。」

知らせろよ!!
普通知らせるよね?!

「…じゃぁ、アタシ明日からこの家に…」
「帰ってこれないって事だねぇ…。」
「……。」

アタシはお兄ちゃんを無言で睨みつける。

「で、でもさ。遊びに着たりすることは出来ると思うよ?まぁ、俺が結婚するまでの話だけど…。」

そうだよね…。
まだ、アタシも高校1年あるし…一人暮らしなんて出来る訳ないし。
少しくらい、我慢すればいいよね…。
裕樹さん、かなりカッコイイし、そんなヒトが何時までもアタシを飼ってる訳無いし。
高校卒業と同時に、あのヒトの家から出ればいいだけのハナシだよね?

何かそう思ったら急に気が楽になってきた。
アタシは少し微笑むと、お兄ちゃんに言った。

「分ったよ。裕樹さんも、ずっとアタシ飼ってる訳じゃないと思うし…。我慢する。」
「美由ゥゥゥゥゥゥ……」

お兄ちゃんは泣きそうな顔になると、アタシに抱きついてきた。
二十歳過ぎた男が抱きつくんじゃねぇよ。
アタシは内心そんなことを思いながらお兄ちゃんの背中をポンポンと叩いた。