「来い。」

裕樹さんは高級なソファに座ると、アタシを呼んだ。
いきなり命令口調ですか…。
やっぱりペットなんじゃないの?
ていうよりも、婚約者とかどういう事?

アタシが裕樹さんの傍に行くのをためらっていると、裕樹さんはアタシの腕を掴んで引き寄せた。
いきなりのことでアタシの体は裕樹さんの胸にダイブ。

「え、あ、ごめんなさいっ。」

アタシはしどろもどろになりながら体を離そうとする。
が。
それはかなわなかった。

「離さない。説明なんて、この状態でも出来るだろ?」

それはそうですけども…。

「恥かしいよ…。」
「恥かしいってお前なぁ…。まぁ、いいや。説明するから、良く聞いてろよ?」

アタシはこくりと頷く。
これで離してくれたらもっといいんだけどね…。

「俺は知っての通り大企業の社長の息子だ。で、腐るほど女が寄って来る。」

そりゃそうでしょうとも。
裕樹さん、認めたくないけどカッコイイしね…。

「俺は全くあいつ等に興味ない。どいつもこいつも、金目的だ。」

いや、裕樹さん目的のヒトも居ると思うよ…?

「だから、アタシが婚約者って事?女が近寄らないように?」
「そういうことだ。」

裕樹さんは頷いた。
でも、それだけなら、早く離してくださいよ……。

「それに、俺はお前が気に入ったから。ペットであり、婚約者であり、みたいな感じだな。」

えぇぇぇぇ…。