「コイツは特別だ。野田もあまり虐めるなよ?」

だから特別ってナンデスカ…。
それに沢山知らない人が出てくるし…。

「あらぁ。それってどういう意味なんですか?」
「コイツは俺のペットだ。」

…やっぱりアタシはペットですか……。
まぁ、そりゃそうだよね。
彼女でもないし。
家がないから引き取ってくれただけのことだろうし。
ペットになるなんて言った覚えないけど、家できたし…まぁ、百歩譲って良い事にしよう。

「ペットですって?なぁに、バカなこと仰ってるんですか?」
「ペットなんですか?私は婚約者かと…。」

桑木さぁぁぁん…。
婚約者?ありえないよ。
アタシと裕樹さんじゃ立場が違いすぎるもん。

「…じゃぁ、婚約者にするか。」
「えぇぇぇぇぇ?!」

アタシは絶句する。
え、何、このヒト。
いきなり婚約者?
聞いてないよ?!
百歩譲っても無理だよ?!

「では、縁談は断りますね。」
「あぁ、頼む。」

縁談ねぇ…。
アタシには関係ない世界だわぁ…。
ボケェっとしてたら裕樹さんに声をかけられた。

「ボケッとしてんな。俺の部屋行くぞ。」
「はぁ…?」

桑木さんと野田さんと後藤さんは裕樹さんにお辞儀をすると、豪邸へ入っていった。
アタシは裕樹さんと手を繋いだまま。

「後でちゃんと説明してよ?」
「分ってる。」

分ってるならいいんですけどねぇ…。