「裕樹さん…。」

アタシは場違いな気がして裕樹さんを見上げた。
クソ、なんでこんなに背が高いんだよ…。
アタシがチビって事分っちゃうじゃん。

「大丈夫だよ、美由。」

どこが大丈夫なのか教えて下さいって…。
裕樹さんはアタシの心を知ってか知らずか、肩に手を置いた。
大きい手だなぁ…なんて、今更思ったり。

「これはこれは。裕樹様が女の方を…。」

桑木さんは嬉しそうに微笑む。
目はいかにも楽しそうな遊びモノを見つけたときの子供のような…。
え、如何いう事?
裕樹さん、今まで何人も家に連れてきたりしなかったのかな?

「コイツは特別だからな。丁重に扱えよ。」

特別って…。
あぁもう、何で裕樹さんは顔赤くなるようなこと簡単に言うのかな…。
アタシは赤くなった顔をばれないように俯いた。

「特別ですか…。裕樹様も大人になられたのですね。」

桑木さんがこっちを見てくるから恥かしいよ…。
アタシはささっと裕樹さんの後ろに隠れた。
何を隠そう、アタシは少しだけど人見知りするタイプなんです。
お兄ちゃんとか入れば、大丈夫なんだけどね…?

「あら、可愛いお連れ!!お名前は?!」

いきなり沸いてきたかのように一人の女性が出てきた。
歳は桑木さんと同じくらい。
メイドさんっていうのかな?
ヲタクのヒト達が『萌えー♪』っていうような服装だった。

「如月美由です…。」

テンション高いなぁ、このヒト…。

「私は野田由里(のだ ゆり)。ここのメイドやってるのよ。よろしくね、美由ちゃん♪」
「はい…。」

どんどん裕樹さんの後ろに隠れていくアタシを桑木さんと野田さんは可笑しそうに眺めている。