「良いですよ、別に…。」


早く帰りたかった。

下校中の女子生徒の“目”が痛かった。


「いやぁ…でもなぁ…今から時間ある?

服、乾かしに学校戻ろ、な?」


・・・はい。

そう言って先生の自転車の荷台に乗せられ、学校へ向かった。



「椎名先生と2人乗りいいなぁーっ」

「教師と生徒の恋愛…?」

「バカ、服乾かすだけだろ。」



なんて周りの会話が聞こえてくる。

…聞こえてくる“気がする”だけかもしれないけど…。



「なー、ハヅキ。」

「はい…?」

「葉月…何さん?」



下の名前、まだ覚えられて無かったのか…。

まぁ、他の生徒と違って椎名先生ともあまり話さない。


苗字を覚えられていただけ奇跡…かもしれない。