先生…のじゃない…?


「私、じゃ…ないです…。」


違う。

違う。


先生のでしょ?

先生が徹君で、それは先生の。



「そっか、じゃー落とし物箱に入れとくか。

呼び出して悪かったな、これお詫び。」


先生は私にそう言い飴をくれて、

教室を出ようとした。



くれたのは、昔よく食べたミカンの飴。



「待っ…!」


“待って”

そう言いたかった。


先生が“徹君”か確かめたかった。


でも、呼び止めるか一瞬迷った。



「ん?」


先生はいつもの優しい笑顔でこっち向いた。